あなたの購入予定の住まいは、35年ローンで組む価値が本当にありますか?
世の中の多くの人は35年の住宅ローンを組んでいるようです。住宅ローンの返済が平均73歳というニュースもありました。
自分の理想の住まいを建てて家族みんなで過ごす幸せ。それは本当に素晴らしいものだと思います。
子供4人の6人家族である僕も素敵な住まいでも生活にもちろん憧れがあります。
それでも現在の日本社会の中で35年ローンを組んでいくことは本当に自分の家族の幸せになるのかと疑問に思ってしまうことがある。
一生のうちで最も大きな買い物である住宅。
この住宅を35年ローンを組んで購入する前に、ぜひ一度腰を据えて自問自答すべきポイントをまとめました。
250棟以上の住まいづくりに関わってきた、子供4人家族を養っている僕の経験からお話ししていきます。
住宅購入の前に自問自答すべき3つのポイント
- 購入する物件の資産価値を数字で確認してみる
- 銀行に支払う金利総額を資産運用するといくら見込めるか
- 住まいのどういう面に価値を感じているのか
ひとつずつ解説していきます。
購入する物件の資産価値を数字で確認してみる
あなたに質問です。
その物件の資産価値はいくらですか?
もうひとつ質問です。
20年後の物件資産はいくらになっているか知っていますか?
まず物件の資産価値とは、リセールバリューのことです。
リセールバリューとは現在想定できる売却時金額のことです。
新築住宅の場合、購入して住み始めた瞬間に資産価値が2〜3割減ります。
これは新築住宅の費用には手数料が含まれているからです。
当然ですが住宅購入の際の手数料は資産価値にはなり得ません。
資産価値はその分減額します。
という声が聞こえてきそうですが、多くの方が住み始めた瞬間に資産価値が下がるという認識がないように思います。
一生に一度の買い物だからこそ資産価値を数字でしっかり明確に把握しておくことが大切だと思います。
具体的にいくらかかるの?
3000万円の物件を購入すると、まず手数料が600万円から900万円ほどかかります。
引き算すると2400万円から2100万円となります。
単純に手数料分を引いた金額が資産価値というわけではなく、あくまでこの物件を売却できる金額が資産価値ということになりますが目安にはできます。
同じ地域、同じ規模の物件が現在どのくらいの価格で売られているか、また、⚪️年後にはどのくらいの価格になると予想できるか。
人口増減や産業の発展、住民の年代など様々な指標を基に算出する必要があります。
面倒でとても計算できないなぁと感じると思います。しかし、一般サラリーマンにとって3000万円の住宅というのはそれほど考えて購入すべきものだと思います。
銀行に支払う金利総額を資産運用するといくら見込めるか
こちらはわかりやすく数字だけ解説します。
3000万円を35年ローンで借入すると、支払い総額は約3750万円となります。
つまり、利息は750万円になります。
この750万円を年利6%で35年の資産運用ができたと考えると、5760万円という驚きの金額になります。
数字だけ見ると、住宅ローンを組まずそのタネ銭で資産運用をしていくと、なかなかの金額の資産となることがわかります。
一方、住宅ローンを組んで新築を購入してから20年後は建物の資産価値がほぼ0円になると言われています。
ローンはあと15年あります。借入残高は1457万円です。
つまり、その時点で資産ではなく負債が残っていることになります。悲しいことですが、数字で見るとこれが現実です。
住まいのどういう面に価値を感じているのか
なかなか悲観的な内容の記事を書いてきましたが、僕は家を購入することがダメだと言っているのではありません。
資産価値を数字で正しく理解した上で、ローンを組むことでの住宅購入を検討すべきだということです。
家族と人生の多くの時間を過ごす家。その空間に価値を求めるのは当然のことです。
誰しもが安心安全な建物に、断熱効果の高い、空気環境の整った、おしゃれで素敵な家に住んでみたいと思うはずです。
自分の住まいづくりは人生においてどんな価値を与えてくれて、最も優先すべきことは何なのか。
家族で旅行に行ったり、たまに美味しい物を食べに行ったりが自由にできる生活よりは価値が高いのか。
それとも生活費を抑えた生活をしてでも自分の理想の住まいに住んでみたいのか。
住まい作りに感じる価値は人それぞれ違います。
その価値をしっかり自分の中で腹落ちできているか、これをきちんと確認すべきです。
人生で何を一番大切にしていきたいのか、自分や家族の価値観をゆっくり考えて住まいづくりの計画をしていきましょう。
少しでも考え方の参考にしていただければ幸いです。